【朗読】やさしいってなに 作:はれのそら 語り:テトミヤ【詩・童話】

概要

はれのそら様の『やさしいってなに』を読ませていただきました。

娘の問い掛けに、過去にあった出来事や今の自分の気持ちも交えつつ大事に応えた、お母さんの語りのお話。

はれのそら様、素敵なお話をありがとうございました!

語り手: テトミヤ
語り手(かな): てとみや

Twitter ID: teto_miya
更新日: 2024/09/23 08:06

エピソード名: やさしいってなに

小説名: やさしいってなに
作家: はれのそら
Twitter ID: hareno123


本編

ねえ。
いつも私はやさしいねって言うじゃない。
今日はね、ほんとうにやさしい人の話しをするよ。
あのね。
やさしいってね。
やさしくされないと、やさしいがわからないの。
目に見えないから。言葉で言っても。
話しを聞いても。
自分がやさしくされないと、届かないの。
でも、あなたへは届いたみたい。
うれしいな。とってもうれしい。
やさしいいい子に育ってくれて、私は幸せ。
あなたが生まれる前はいろいろね。
頭がよかったりとか。
モデルさん並のスタイルとか。
そういう子ならいいなって思ってたの。
そうねぇ。
今だったら考えられない。

そう。
あなたが生まれる時ね。
すごく大変だったの。たくさん血が出ちゃって。
あなたの事、どうあっても守りきらなきゃって頑張って。

そんな時だった。
やさしい人がね。あらわれたの。
輸血によってね。
その血のおかげで、あなたが元気に生まれて。
私も無事でいられた。
お医者さんに聞いたら、善意で献血した人のおかげだって。
その場で大泣きしちゃった。こんなにもやさしさがこもってたんだもの。
あのね。
あなたにはちゃんと言わなきゃいけなくて。
あなたが生きていく世界は残念だけど辛い事や悲しい事。
いっぱいいっぱいあるの。
自分が悪くないのに我慢しなきゃいけない時もあるの。
それでもね。

私とあなたに届いたやさしさもまたたくさん詰まってるの。
ちょっとママの胸、さわってみて。
ドクンドクンっていってるでしょ。
これはね。やさしい人が運んでくれたから今も動いてるの。
あなたのここにも……やさしいのがつまってるね。
……ママの所に生まれてきてくれてありがとう。
あなたはもっとやさしくなれるよ。
だって、素敵なやさしい子だから。
(おわり)
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