朗読【冬色のカーテン】
概要
同じ景色が見られるかもよ?」
彼から送られてきた冬色のカーテン。
その向こうに見えたのは…。
彼から送られてきた冬色のカーテン。
その向こうに見えたのは…。
語り手: 白河 那由多
語り手(かな): しらかわ なゆた
Twitter ID: nayuta9333
更新日: 2024/03/01 19:33
エピソード名: 冬色のカーテン
小説名: 冬色のカーテン
作家: トガシテツヤ
Twitter ID: Togashi_Design
本編
「冬色のカーテンです。大切にしてね」
そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送られてきた。前に「カーテン、替えないとな―」と言ったのを、彼は覚えていたらしい。
私が「白だから冬色なの? ちょっと安直じゃない?」とメッセージを送ると、「同じ景色が見られるかもよ?」と返事がきた。
――同じ景色、か。
しばらく、設置したカーテンを見つめた。
雪国に転勤になった彼は、最初の冬で「もう雪にはうんざり!」と文句ばかり言っていた。ただ、その割には毎日のように「今日も降ってるよ」とか「こんなに積もったよ」などのコメントと一緒に、雪景色の写真を送ってくる。
雪かきは大変そうだけど、雪が降らないところに住んでいる身としては、やっぱり銀世界には憧れる。彼だって、本当は楽しんでいるに違いない。
翌朝、目が覚めて何となく窓を見ると、カーテン越しではあるが、何かチラチラと空から降り注いでいるのが見えた。
――え? 雪?
――うそ! 雪の予報なんて出てなかったのに!
飛び起きてカーテンを開けると……窓の外には雲一つない快晴の空が広がっていた。
――寝ぼけてた……のよね?
ゆっくりとカーテンを閉めて、少し離れたところからカーテンを見つめると、またチラチラと雪が舞い降りてきた。指で少しだけカーテンを開けようとしたが、やめておいた。
スマートフォンを取り出し、彼に電話をかける。
「あのさ、このカーテン……本当に冬色だった」
「え? 何言ってるの?」
私は少しだけ|間《ま》を置いて「いいの。素敵なカーテンをありがとう」と言った。
――本物の雪、見に行こうかな。
思ったけど、口には出さなかった。
そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送られてきた。前に「カーテン、替えないとな―」と言ったのを、彼は覚えていたらしい。
私が「白だから冬色なの? ちょっと安直じゃない?」とメッセージを送ると、「同じ景色が見られるかもよ?」と返事がきた。
――同じ景色、か。
しばらく、設置したカーテンを見つめた。
雪国に転勤になった彼は、最初の冬で「もう雪にはうんざり!」と文句ばかり言っていた。ただ、その割には毎日のように「今日も降ってるよ」とか「こんなに積もったよ」などのコメントと一緒に、雪景色の写真を送ってくる。
雪かきは大変そうだけど、雪が降らないところに住んでいる身としては、やっぱり銀世界には憧れる。彼だって、本当は楽しんでいるに違いない。
翌朝、目が覚めて何となく窓を見ると、カーテン越しではあるが、何かチラチラと空から降り注いでいるのが見えた。
――え? 雪?
――うそ! 雪の予報なんて出てなかったのに!
飛び起きてカーテンを開けると……窓の外には雲一つない快晴の空が広がっていた。
――寝ぼけてた……のよね?
ゆっくりとカーテンを閉めて、少し離れたところからカーテンを見つめると、またチラチラと雪が舞い降りてきた。指で少しだけカーテンを開けようとしたが、やめておいた。
スマートフォンを取り出し、彼に電話をかける。
「あのさ、このカーテン……本当に冬色だった」
「え? 何言ってるの?」
私は少しだけ|間《ま》を置いて「いいの。素敵なカーテンをありがとう」と言った。
――本物の雪、見に行こうかな。
思ったけど、口には出さなかった。