【童話】『春を告げる』 著:狸寝入り
概要
NFRSラジオ「サウンドアンソロジー」にて配信して頂きました。
誠にありがとうございます。
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登場人物を全員優しい声音にすることに違和感を感じ、悩む悩む。
お姉さんを、ジブリアニメ『魔女の宅急便』に登場するウルスラのようにしたらしっくりきました(彼女のモノ言う感じ、画家としての巧みな想像力、良かったですよね)!
狸寝入りさん、ありがとうございました!
※「聴くっしょ」への投稿を失念しており大変失礼しました。
誠にありがとうございます。
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登場人物を全員優しい声音にすることに違和感を感じ、悩む悩む。
お姉さんを、ジブリアニメ『魔女の宅急便』に登場するウルスラのようにしたらしっくりきました(彼女のモノ言う感じ、画家としての巧みな想像力、良かったですよね)!
狸寝入りさん、ありがとうございました!
※「聴くっしょ」への投稿を失念しており大変失礼しました。
語り手: 吉史あん
語り手(かな): よしふみあん
Twitter ID: tsubuyakiaiueon
更新日: 2023/10/22 22:00
エピソード名: 春を告げる
小説名: 春を告げる
作家: 狸寝入り
Twitter ID: haruru765
本編
カンカンカン、カンカンカン。
アパートの階段を誰かが上ってくる。
私の住むアパートは築年数が古く錆びた鉄でできた階段は、誰かが上ってくればこうして音がなるのだ。
トン、トントン。
私の部屋のドアが叩かれた。
「はーい」
声をかけながら玄関に向かう。
といってもワンルームの部屋なのでまっすぐいくだけなのだが……
覗き窓から外を確認する。
そこには一羽のツバメさんがいました。
「こんにちは春を届けに来ました」
ツバメさんは頭に桜の花をつけて、そう言います。
「あら、ツバメさん。もうそんな季節になるのね?」
玄関ドアを開けて、私はツバメさんを部屋に招きました。
「そうなんです。春なんです」
ツバメさんは部屋を飛びながら、桜の花びらを降らせてくれます。
部屋の中が春の色に染まりました。
「そういえば、階段は誰が上がってきたのかしら?」
ツバメさんは飛べるので階段は必要ないはずです。
私は疑問に思ってそうたずねました。
「ああ、それは野うさぎさんです。彼も一緒にきたのですが、どうも人見知りなようで」
ツバメさんは部屋のランプの上にとまって、そう教えてくれます。
「そうだったのね。鍵は開いてるから、入ってきて?」
先ほどは気づかなかったけど、いるならぜひ一緒に春を楽しみたい。
私の呼び掛けに遠慮がちにドアが開き、野うさぎさんが顔をのぞかせます。
「い、いいのかな?」
「彼女が良いと言っているのですから、入りなさいよ」
野うさぎさんの言葉にツバメさんはそう言いました。
「そうよ、いいのよ。一緒に春を楽しみましょう」
「うん、じゃあ」
とてとてと、私の前に姿を見せてくれた野うさぎさんは、梅の花が咲いた木の枝を咥えていました。
「野うさぎさんの梅の花も綺麗ね」
私はそう言いながら、頭を撫でてあげます。
「だ、だよね? これ綺麗だよね」
野うさぎさんは嬉しそうにぴょんっと、跳ねました。
「それじゃ、お茶いれましょう」
「「ありがとうございます。お姉さん」」
二人のお礼を聞きながら、私は立ち上がり紅茶の準備を始めます。
ポコポコ、水が躍り。ぴゅーぴゅー、ヤカンが音を奏でてくれました。
ポットにコポコポお湯を入れて、茶葉を三匙入れます。
紅茶の香りが部屋に広がり、小さな部屋のお茶会の始まりを告げました。
「もう、春なんだな……」
私は小さくそう呟いて、お茶を二人のもとに運んでいきます。
春を告げてくれた二人に感謝をこめて……
アパートの階段を誰かが上ってくる。
私の住むアパートは築年数が古く錆びた鉄でできた階段は、誰かが上ってくればこうして音がなるのだ。
トン、トントン。
私の部屋のドアが叩かれた。
「はーい」
声をかけながら玄関に向かう。
といってもワンルームの部屋なのでまっすぐいくだけなのだが……
覗き窓から外を確認する。
そこには一羽のツバメさんがいました。
「こんにちは春を届けに来ました」
ツバメさんは頭に桜の花をつけて、そう言います。
「あら、ツバメさん。もうそんな季節になるのね?」
玄関ドアを開けて、私はツバメさんを部屋に招きました。
「そうなんです。春なんです」
ツバメさんは部屋を飛びながら、桜の花びらを降らせてくれます。
部屋の中が春の色に染まりました。
「そういえば、階段は誰が上がってきたのかしら?」
ツバメさんは飛べるので階段は必要ないはずです。
私は疑問に思ってそうたずねました。
「ああ、それは野うさぎさんです。彼も一緒にきたのですが、どうも人見知りなようで」
ツバメさんは部屋のランプの上にとまって、そう教えてくれます。
「そうだったのね。鍵は開いてるから、入ってきて?」
先ほどは気づかなかったけど、いるならぜひ一緒に春を楽しみたい。
私の呼び掛けに遠慮がちにドアが開き、野うさぎさんが顔をのぞかせます。
「い、いいのかな?」
「彼女が良いと言っているのですから、入りなさいよ」
野うさぎさんの言葉にツバメさんはそう言いました。
「そうよ、いいのよ。一緒に春を楽しみましょう」
「うん、じゃあ」
とてとてと、私の前に姿を見せてくれた野うさぎさんは、梅の花が咲いた木の枝を咥えていました。
「野うさぎさんの梅の花も綺麗ね」
私はそう言いながら、頭を撫でてあげます。
「だ、だよね? これ綺麗だよね」
野うさぎさんは嬉しそうにぴょんっと、跳ねました。
「それじゃ、お茶いれましょう」
「「ありがとうございます。お姉さん」」
二人のお礼を聞きながら、私は立ち上がり紅茶の準備を始めます。
ポコポコ、水が躍り。ぴゅーぴゅー、ヤカンが音を奏でてくれました。
ポットにコポコポお湯を入れて、茶葉を三匙入れます。
紅茶の香りが部屋に広がり、小さな部屋のお茶会の始まりを告げました。
「もう、春なんだな……」
私は小さくそう呟いて、お茶を二人のもとに運んでいきます。
春を告げてくれた二人に感謝をこめて……