【聴くっショ!で読むっしょ!】きりとりせん【@hear】
概要
何気ない日常で感じる子供の成長をアルバムに収めていくような素敵な作品に出会いました。。
語り手: ぬっぴぃ
語り手(かな): ぬっぴぃ
Twitter ID: hisano_nuppy
更新日: 2023/06/29 15:44
エピソード名: きりとりせん
小説名: きりとりせん
作家: はちゃこ
Twitter ID: hacha_upa
本編
息子の爪を切る。
あのころは紙石鹸のように薄かった爪が
今は私の手のなかで、ぱちんと音を立てる。
膝の上でおさまっていた手足は、もうはみ出るほど窮屈で。
指先をじっと見つめて、すうすうと上下する背中が熱い。
日常に溶けていく名もなき時間に
私は黙々と、きりとりせんをひいていく。
積み重ねてきた日々との、小さな決別
なんてタイトルをつけながら。
さようなら、小さかったあなた。
過ぎゆく春が、レースのカーテンを揺らす。
ぱちんと、とんでいったちいさな欠片は
目を凝らしても、もう見あたらなかった。
あのころは紙石鹸のように薄かった爪が
今は私の手のなかで、ぱちんと音を立てる。
膝の上でおさまっていた手足は、もうはみ出るほど窮屈で。
指先をじっと見つめて、すうすうと上下する背中が熱い。
日常に溶けていく名もなき時間に
私は黙々と、きりとりせんをひいていく。
積み重ねてきた日々との、小さな決別
なんてタイトルをつけながら。
さようなら、小さかったあなた。
過ぎゆく春が、レースのカーテンを揺らす。
ぱちんと、とんでいったちいさな欠片は
目を凝らしても、もう見あたらなかった。