【SS朗読】34『人魚の恋~第1話』ふわり(作)

概要

『人魚の恋』は、2022年9月24日時点で第2話までしか発表されてません。それでも、読み手に自由な解釈が許されてると感じ、朗読しました。人魚が登場すると、つい叶わぬ恋を思い浮かべてしまいますが、さて、どうなるんでしょうね。

ふわり様 承認ありがとうございました。
今後の創作活動も応援しております。

語り手: 吉史あん
語り手(かな): よしふみあん

Twitter ID: tsubuyakiaiueon
更新日: 2023/10/22 22:17

エピソード名: 人魚の恋〜第一話 人魚の恋

小説名: 人魚の恋〜第一話 人魚の恋
作家: ふわり
Twitter ID: fuwari3333


本編

あの人は、きっと私には気づかない。

だって、あの人の目に映るのはクラゲ達だから…

初めて見かけたのは夏のことだった。

いつもは海深く潜っているけれど、
その日はなんだか、空を見たくなって。
決して手の届くことがない、不思議な空を…

(海の上は怖い所だから、行っちゃだめよ)

みんなからはそう言われていたけれど、
どんな世界なのか気になって、
私は何度か海の上を見に行った。

そこは明るい場所だった。
遠くから陸を眺めると、見たことのない生き物を見つけた。
私とは違う姿…!
どうしてあの生き物は水がないのに動けるんだろう?
初めて見る「人間」は新鮮で、不思議だった。

それから何度か、また海の上を見に行った。
あの生き物が「人間」という生き物だと知った。

「人間」は怖いから決して近づいちゃだめよ。
母さんはそう言っていたけれど…

ある日のこと、また、「人間」が浜へとやってきた。
いつも何をしに来ているのだろう?
遠くから様子を見ていると、どうやらクラゲを見に来ているようだ。
プカプカと浮かぶクラゲを楽しそうに眺めていた。
その目が、とても優しかった。

いつの間にか、私はその「人間」に恋をしていた。

恋…?
これが恋というものなんだろうか?
わからない。
でも、あの「人間」に会いたくて、
毎日のように陸を見に来ていた。

私は海から出られない。
だって、私は人魚…「人間」とは違って、足がないもの…

こんな姿を見られたら、きっと驚いて逃げていってしまうだろう。
だから、遠くから見ることしかできなかった。

クラゲになりたい…
人魚はそう思った。

手の届くことのない世界を、
今日も眺めに行く。

人魚の恋は、きっと実らない。
それでもいいの。
あの世界を、知りたい。

ー第二話へ続くー
0