【朗読】とっても大事な、あいうえお 作:狸寝入り 語り:テトミヤ【その他】
概要
狸寝入り様の『とっても大事な、あいうえお』を読ませていただきました。
まだ眠くないみいちゃんを寝かし付けようとするお母さんと、そんなお母さんが大好きなみいちゃんのお話。
狸寝入り様、素敵なお話をありがとうございました!
まだ眠くないみいちゃんを寝かし付けようとするお母さんと、そんなお母さんが大好きなみいちゃんのお話。
狸寝入り様、素敵なお話をありがとうございました!
語り手: テトミヤ
語り手(かな): てとみや
Twitter ID: teto_miya
更新日: 2024/06/21 17:09
エピソード名: とっても大事な、あいうえお
小説名: とっても大事な、あいうえお
作家: 狸寝入り
Twitter ID: haruru765
本編
ある晩の事。みいちゃんを寝かしつけるためベットに運んだ後、部屋を出る前にドアのすぐ横にある電気のスイッチに手をかけたお母さんに、みいちゃんはもっと遊びたいと言いました。
「やれやれ、困った子ね」
お母さんは口では困ったように言いながら、みいちゃんのベットの方に近づきます。
「だめ?」
みいちゃんは不安そうに掛布団で口を隠して、お母を見つめました。
「少しだけよ」
そう言って、みいちゃんのベッドの端に座って、お母さんは頭をやさしく撫でてあげます。
「なにしてあそぶ?」
体を起こしたみいちゃんは、嬉しそうにお母さんに言いました。
「あらあら。そうね……あいうえおゲームをしましょうか?」
少し顎に手を添えて考えた後、お母さんはそう提案をします。
「あいうえおゲーム?」
みいちゃんは不思議そうにお母さんの顔を見ました。
「そう、身近にある……この部屋にある、あいうえおを探すゲームよ」
お母さんは分かるように、優しい声でそう言ってあげます。
「どうやるの、どうやるの」
みいちゃんは興味津々といった様子で、お母さんの手を掴んでぶんぶんと振りました。
「まずは、あから探してみて?」
「うん。あ、あ、う~。あ、なんてないよ」
お母さんの手を放して、あっちこっち探しましたが、あから始まるものは見つかりません。
「ヒントはねぇ、お母さんも持っているものよ」
そう言われて、みいちゃんはお母さんをじーと、見ました。
「なにも、もってないよ?」
不思議そうにお母さんに聞きます。
「それはね、みいちゃん大好きって気持ち」
みいちゃんは少し頬を膨らませて――
「お母さんずるい」
とそっぽもを向いてしまいました。
「ごめんね。でも、気持ちって目には見えないけどこうやれば伝わるんだよ」
お母さんは、みいちゃんをギュっと抱きしめます。
「おかあさんくるしいよ~」
「伝わった? ふふ。じゃあ次は、いを探してみて」
そう言ってみいちゃんを離して、ゲームを再開しました。
「うーん。いー。あ、これ。インコのぬいぐるみ」
得意げにぬいぐるみをお母さんに見せると――
「正解。だけどもっと大切な、いから始まるものを私たちは持っているのよ」
その言葉にみいちゃんが不思議そうにしていると、お母さんはゆっくりと話しだします。
「それは、命。皆一つしか持ってないの。胸に手を当ててみて? トクントクンって動いてるでしょ?」
「そうなの? ほんとだ! すごい」
みいちゃんがはしゃいでいるのを眺めて、微笑みながら次の言葉を探すように促しました。
「う、だよね。かんたんだよ。ほら」
みいちゃんは得意げに手を見せます。
「惜しい、腕も大切だけど、嘘をつかないことが正解よ」
お母さんは得意げにそう言ってのけました。
「おかあさん。せこいよ~」
不満げにみいちゃんは、抗議の声を上げます。
「でも、私に嘘をついたお父さんがどうなったか知ってるでしょ?」
どこか怖い雰囲気で笑いながらお母さんは言いました。
「ごめんなさい。うそはよくないよね。つぎは、えをさがそうっと」
何かを思い出したかのように、みいちゃんは話をそらします。
「フフフ。ヒントはみいちゃんができることよ」
「わたしにできること……みかんのかわでかいじゅうさんをつくれること?」
「うん。あれはすごいけど、大切なことじゃないでしょ?」
「あ、そうだった。なんだろー」
「はい、時間切れー。正解は笑顔でした」
「えー。なんでそんなのが、たいせつなの?」
みいちゃんは不思議そうにお母さんに聞きました。
「笑顔はね、人を幸せにするのよ。嬉しいってこと。お母さんにとって一番の宝はみいちゃんで、そのみいちゃんが幸せなことがお母さんの幸せなの。だからいっぱい笑顔を見せてね?」
「そうなんだ。いっぱいわらって、おかあさんをしあわせにするね」
その言葉にお母さんは少し黙って、下を向いてしまいます。
「さいごは、かんたんだよ」
お母さんは不思議そうに、視線をみいちゃんに向けました。
「……」
みいちゃんと目が合うと、みいちゃんはいそいそとベットに乗って、ベットの端に腰を掛けたお母さんを後ろからギュと抱きしめます。
「みいちゃん?」
不思議そうな声を出すお母さんにみいちゃんは言いました。
「お、はおかあさんだよ。いつもあそんでくれてありがとう。だいすき」
その言葉にお母さんはとうとう泣いてしまいました。
(完)
「やれやれ、困った子ね」
お母さんは口では困ったように言いながら、みいちゃんのベットの方に近づきます。
「だめ?」
みいちゃんは不安そうに掛布団で口を隠して、お母を見つめました。
「少しだけよ」
そう言って、みいちゃんのベッドの端に座って、お母さんは頭をやさしく撫でてあげます。
「なにしてあそぶ?」
体を起こしたみいちゃんは、嬉しそうにお母さんに言いました。
「あらあら。そうね……あいうえおゲームをしましょうか?」
少し顎に手を添えて考えた後、お母さんはそう提案をします。
「あいうえおゲーム?」
みいちゃんは不思議そうにお母さんの顔を見ました。
「そう、身近にある……この部屋にある、あいうえおを探すゲームよ」
お母さんは分かるように、優しい声でそう言ってあげます。
「どうやるの、どうやるの」
みいちゃんは興味津々といった様子で、お母さんの手を掴んでぶんぶんと振りました。
「まずは、あから探してみて?」
「うん。あ、あ、う~。あ、なんてないよ」
お母さんの手を放して、あっちこっち探しましたが、あから始まるものは見つかりません。
「ヒントはねぇ、お母さんも持っているものよ」
そう言われて、みいちゃんはお母さんをじーと、見ました。
「なにも、もってないよ?」
不思議そうにお母さんに聞きます。
「それはね、みいちゃん大好きって気持ち」
みいちゃんは少し頬を膨らませて――
「お母さんずるい」
とそっぽもを向いてしまいました。
「ごめんね。でも、気持ちって目には見えないけどこうやれば伝わるんだよ」
お母さんは、みいちゃんをギュっと抱きしめます。
「おかあさんくるしいよ~」
「伝わった? ふふ。じゃあ次は、いを探してみて」
そう言ってみいちゃんを離して、ゲームを再開しました。
「うーん。いー。あ、これ。インコのぬいぐるみ」
得意げにぬいぐるみをお母さんに見せると――
「正解。だけどもっと大切な、いから始まるものを私たちは持っているのよ」
その言葉にみいちゃんが不思議そうにしていると、お母さんはゆっくりと話しだします。
「それは、命。皆一つしか持ってないの。胸に手を当ててみて? トクントクンって動いてるでしょ?」
「そうなの? ほんとだ! すごい」
みいちゃんがはしゃいでいるのを眺めて、微笑みながら次の言葉を探すように促しました。
「う、だよね。かんたんだよ。ほら」
みいちゃんは得意げに手を見せます。
「惜しい、腕も大切だけど、嘘をつかないことが正解よ」
お母さんは得意げにそう言ってのけました。
「おかあさん。せこいよ~」
不満げにみいちゃんは、抗議の声を上げます。
「でも、私に嘘をついたお父さんがどうなったか知ってるでしょ?」
どこか怖い雰囲気で笑いながらお母さんは言いました。
「ごめんなさい。うそはよくないよね。つぎは、えをさがそうっと」
何かを思い出したかのように、みいちゃんは話をそらします。
「フフフ。ヒントはみいちゃんができることよ」
「わたしにできること……みかんのかわでかいじゅうさんをつくれること?」
「うん。あれはすごいけど、大切なことじゃないでしょ?」
「あ、そうだった。なんだろー」
「はい、時間切れー。正解は笑顔でした」
「えー。なんでそんなのが、たいせつなの?」
みいちゃんは不思議そうにお母さんに聞きました。
「笑顔はね、人を幸せにするのよ。嬉しいってこと。お母さんにとって一番の宝はみいちゃんで、そのみいちゃんが幸せなことがお母さんの幸せなの。だからいっぱい笑顔を見せてね?」
「そうなんだ。いっぱいわらって、おかあさんをしあわせにするね」
その言葉にお母さんは少し黙って、下を向いてしまいます。
「さいごは、かんたんだよ」
お母さんは不思議そうに、視線をみいちゃんに向けました。
「……」
みいちゃんと目が合うと、みいちゃんはいそいそとベットに乗って、ベットの端に腰を掛けたお母さんを後ろからギュと抱きしめます。
「みいちゃん?」
不思議そうな声を出すお母さんにみいちゃんは言いました。
「お、はおかあさんだよ。いつもあそんでくれてありがとう。だいすき」
その言葉にお母さんはとうとう泣いてしまいました。
(完)