日々是朗読【ぶどうパン】〈白河 那由多〉
概要
親子の何気ない、でもかけがえのない、そんな日常を感じられる作品だと思います。
語り手: 読書人流水
語り手(かな): どくしょじんりゅうすい
Twitter ID: bass_ryu_z
更新日: 2024/04/28 19:08
エピソード名: ぶどうパン
小説名: ぶどうパン
作家: 白河 那由多
Twitter ID: nayuta9333
本編
「珈琲、飲もうか?」
子供の頃、バスに乗って駅前に買い物に行くと、母は必ずと言っていいほど喫茶店に行く。
私の家では、中学生になると珈琲を飲んでも良いと許しがでた。
珈琲は私にとって、大人の飲み物だった。
たまに飲めたコーヒー牛乳も美味しかったけど、インスタントコーヒーは、飲ませてもらえなかった。
「お待たせいたました。」
珈琲と一緒にテーブルに置かれたのは、白いお皿に、ちょこんとのせられた2個のぶどうパン。
ひとり1個のサービス。
時々、母は自分の分を私にくれた。
いつも行くのは午前中だから、モーニングサービスだったのかもしれない。
市販品ではない。
パン屋さんで売っているような、バターの風味がする小ぶりで丸いぶどうパン。
珈琲は私にとって、大人の飲み物。
この喫茶店は、階段を登った2階にある。
赤を基調とした内装は、とても落ち着いていて音楽が流れていた。
ここのぶどうパンが好きだった。
引越しをして、この喫茶店に行くことは無くなった。
この店が、まだあるかもわからない。
パン屋に行くことはあるが、ぶどうパンを買うことはない。
だけど、あのぶどうパンは好きだった。
珈琲をいれながら、ふと思い出す。
そんな朝、少し…幸せ。
子供の頃、バスに乗って駅前に買い物に行くと、母は必ずと言っていいほど喫茶店に行く。
私の家では、中学生になると珈琲を飲んでも良いと許しがでた。
珈琲は私にとって、大人の飲み物だった。
たまに飲めたコーヒー牛乳も美味しかったけど、インスタントコーヒーは、飲ませてもらえなかった。
「お待たせいたました。」
珈琲と一緒にテーブルに置かれたのは、白いお皿に、ちょこんとのせられた2個のぶどうパン。
ひとり1個のサービス。
時々、母は自分の分を私にくれた。
いつも行くのは午前中だから、モーニングサービスだったのかもしれない。
市販品ではない。
パン屋さんで売っているような、バターの風味がする小ぶりで丸いぶどうパン。
珈琲は私にとって、大人の飲み物。
この喫茶店は、階段を登った2階にある。
赤を基調とした内装は、とても落ち着いていて音楽が流れていた。
ここのぶどうパンが好きだった。
引越しをして、この喫茶店に行くことは無くなった。
この店が、まだあるかもわからない。
パン屋に行くことはあるが、ぶどうパンを買うことはない。
だけど、あのぶどうパンは好きだった。
珈琲をいれながら、ふと思い出す。
そんな朝、少し…幸せ。