日々是朗読【桜 ドライブ】〈狸寝入り〉
概要
とてもとても不思議な感覚のお話でした。
実際、同じようなことになれば、このような体験をするのかもしれないな、と思わせるような内容です。
何度も聴いて、作品を味わってくださいね。
実際、同じようなことになれば、このような体験をするのかもしれないな、と思わせるような内容です。
何度も聴いて、作品を味わってくださいね。
語り手: 読書人流水
語り手(かな): どくしょじんりゅうすい
Twitter ID: bass_ryu_z
更新日: 2023/09/10 18:53
エピソード名: 桜 ドライブ
小説名: 桜 ドライブ
作家: 狸寝入り
Twitter ID: haruru765
本編
ようやく買えたな……
俺はそう思いながら、自転車のカゴに入ったサンドイッチを見つめる。
今日はこの噂のサンドイッチを買うために、こんな山道を自転車で走ってきた。
薄暗い山道を、自転車で下る。
車二台がギリギリ走れるくらいの、狭い道路だ。
その道路をひたすらに走っている。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いているた。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてくる。
白のランボルギーニだ。
カッケー、俺も乗りたいな! いや、何か乗ったこともある気がするな?
思い出せない、まあ子供の頃とかなんかだろう。
さらに漕ぎ続けていると、桜の木が見えてきた。
美しい。該当に照らされ舞い墜ちる花びらが、儚げな印象だ。
自転車を止め、桜の下にいく。
「赤い……まさか血か?」
桜の幹の部分に、赤黒いシミが付いていた。
その赤いものに手を伸ばしたとき、大きなクラクションが鳴り、俺は視線を向ける。
また白のランボルギーニだ、ぶつかる……
何で俺はこんなところにいるのだろう?
そうだ、サンドイッチを買いに来たんだ。
仄暗い山道を自転車で下る。
車二台がギリギリ走れる、狭い道路だ。
その道路をひたすらに走っていく。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いていた。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてくる。
白のランボルギーニだ。
カッケー、俺も乗りたいな! いや、何か乗ったこともある気がするな?
思い出せない、まあ夢かなんかだろう。
さらに漕ぎ続けていると、桜の木が見えてきた。
桜の木には不思議な力があるとか、死体が埋まっているなんて聞いたことがある。
美しい。該当に照らされ舞い墜ちる花びらが、儚げな印象だ。
自転車を止め、桜の下にいく。
「赤い……まさか血か?」
桜の幹の部分に、赤黒いシミが付いていた。
血かもしれないのに、不思議と怖さや驚きよりも既視感がわいてくる。
過去にもあったのか?
いや、俺はサラリーマンだ。
事件なんて無縁のはず……
その時、大きなクラクションが鳴り、俺は視線を向ける。
白のランボルギーニだ、ぶつかる……
何で俺はこんなところにいるのだろう?
ぼんやりした頭で、暗い山道を自転車で下る。
狭い道路だな……
その道路をひたすらに走っている。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いている。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてきた。
ひゃぇ、怖い。白のランボルギーニだ。
俺はブレーキをかけて、ランボルギーニが去っていくのを待つ。
どうして怖いんだ?
「かえして、かえして」
後ろから声がして、振り向く。
真っ赤なワンピースの女性が、かなりゆっくりとした動きで近づいてくる。
「え? 何を……」
俺は女性をみて、急いで自転車をこぎだした。
あれは、何だ? 目が黒塗りで、白目もなく。赤いワンピースに見えたが、あれは血のように思える。
くそ、ここは幽霊がでるのか?
俺は息を切らせながら、漕ぎ続けた。
あれは? 少し離れた先に、ピンクの花が咲く木が見えてくる。
桜だ、チラリと後ろをみるともう追ってきてないようだ。
「ふぅ、少しやすむか」
俺は桜の木の前に行き、自転車を下りて、地面に座って木に背中を預ける。
「ふぅ、どうなっているんだ」
俺は行きを整えながら、そう声を漏らす。
「捕まえた~」
突如、木から手が飛び出してきて、俺の肩をつかんだ。
しまった、これは逃げられない。
俺は必死に手を伸ばすも、木に吸い込まれていく。
ここまでなのか……
・・・・・・・・・・
「あれ? ここは? 幽霊は?」
目を覚ますと、見慣れない白い天井が視界に飛び込んできた。
腕が動かしづらいな……
幸い、顔は動かせたので、視線を向けると腕にチューブが付いていて、横に機械が何個か置いてある。
病院か? 何があったんだ?
俺は確か……
「あ、目を覚ましましたか。良かった、良かった」
思い出そうと思考をめぐらせていると、ドアが開き小太りのトレンチコートを着た小太りの男性が入ってきた。
「貴方は? ここは病院ですか?」
矢継ぎ早に質問を投げかけた。
思いの外、声がかすれている。
「警察です。はい、ここは病院ですよ」
そう言って、手帳を見せてくれた。
「貴方が起こした事故について、話を聞きにきました」
訳がわからない。
俺は話を聞く事にする。
刑事の話は簡単だった。
俺は山道を友人に借りたランボルギーニで走行中に、桜の木に突撃したらしい。
その時、自転車で帰宅中の女の子をひいたようだ。
今まで見ていたのはもしかしたら、少女の苦痛を忘れさせないために、桜が俺に見せていたのかもしれないな。
刑事の聞き取りが終わり、医者の話を聞き終えて、俺は一人ベットの座っていた。
俺は今日の出来事を鮮明の思い出していた。
今日、友人に車を借りて、気分よくドライブを楽しみ、軽く飲むくらいは大丈夫だろうとお酒を飲んで、あの桜に見とれてそのまま事故を起こしたのだ。
俺は幽霊が言った、「かえして」と言う言葉に、申し訳なさと愚かな行動をした自責の念で、布団を頭から頭、涙を流し続けた。
(完)
俺はそう思いながら、自転車のカゴに入ったサンドイッチを見つめる。
今日はこの噂のサンドイッチを買うために、こんな山道を自転車で走ってきた。
薄暗い山道を、自転車で下る。
車二台がギリギリ走れるくらいの、狭い道路だ。
その道路をひたすらに走っている。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いているた。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてくる。
白のランボルギーニだ。
カッケー、俺も乗りたいな! いや、何か乗ったこともある気がするな?
思い出せない、まあ子供の頃とかなんかだろう。
さらに漕ぎ続けていると、桜の木が見えてきた。
美しい。該当に照らされ舞い墜ちる花びらが、儚げな印象だ。
自転車を止め、桜の下にいく。
「赤い……まさか血か?」
桜の幹の部分に、赤黒いシミが付いていた。
その赤いものに手を伸ばしたとき、大きなクラクションが鳴り、俺は視線を向ける。
また白のランボルギーニだ、ぶつかる……
何で俺はこんなところにいるのだろう?
そうだ、サンドイッチを買いに来たんだ。
仄暗い山道を自転車で下る。
車二台がギリギリ走れる、狭い道路だ。
その道路をひたすらに走っていく。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いていた。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてくる。
白のランボルギーニだ。
カッケー、俺も乗りたいな! いや、何か乗ったこともある気がするな?
思い出せない、まあ夢かなんかだろう。
さらに漕ぎ続けていると、桜の木が見えてきた。
桜の木には不思議な力があるとか、死体が埋まっているなんて聞いたことがある。
美しい。該当に照らされ舞い墜ちる花びらが、儚げな印象だ。
自転車を止め、桜の下にいく。
「赤い……まさか血か?」
桜の幹の部分に、赤黒いシミが付いていた。
血かもしれないのに、不思議と怖さや驚きよりも既視感がわいてくる。
過去にもあったのか?
いや、俺はサラリーマンだ。
事件なんて無縁のはず……
その時、大きなクラクションが鳴り、俺は視線を向ける。
白のランボルギーニだ、ぶつかる……
何で俺はこんなところにいるのだろう?
ぼんやりした頭で、暗い山道を自転車で下る。
狭い道路だな……
その道路をひたすらに走っている。
他に人は見当たらず、ガードレールの向こうには森としか表現のしようがないくらいに木が生い茂り、カラスが騒がしく鳴いている。
しばらく走り続けると、向こうから車の明かりが近づいてきた。
ひゃぇ、怖い。白のランボルギーニだ。
俺はブレーキをかけて、ランボルギーニが去っていくのを待つ。
どうして怖いんだ?
「かえして、かえして」
後ろから声がして、振り向く。
真っ赤なワンピースの女性が、かなりゆっくりとした動きで近づいてくる。
「え? 何を……」
俺は女性をみて、急いで自転車をこぎだした。
あれは、何だ? 目が黒塗りで、白目もなく。赤いワンピースに見えたが、あれは血のように思える。
くそ、ここは幽霊がでるのか?
俺は息を切らせながら、漕ぎ続けた。
あれは? 少し離れた先に、ピンクの花が咲く木が見えてくる。
桜だ、チラリと後ろをみるともう追ってきてないようだ。
「ふぅ、少しやすむか」
俺は桜の木の前に行き、自転車を下りて、地面に座って木に背中を預ける。
「ふぅ、どうなっているんだ」
俺は行きを整えながら、そう声を漏らす。
「捕まえた~」
突如、木から手が飛び出してきて、俺の肩をつかんだ。
しまった、これは逃げられない。
俺は必死に手を伸ばすも、木に吸い込まれていく。
ここまでなのか……
・・・・・・・・・・
「あれ? ここは? 幽霊は?」
目を覚ますと、見慣れない白い天井が視界に飛び込んできた。
腕が動かしづらいな……
幸い、顔は動かせたので、視線を向けると腕にチューブが付いていて、横に機械が何個か置いてある。
病院か? 何があったんだ?
俺は確か……
「あ、目を覚ましましたか。良かった、良かった」
思い出そうと思考をめぐらせていると、ドアが開き小太りのトレンチコートを着た小太りの男性が入ってきた。
「貴方は? ここは病院ですか?」
矢継ぎ早に質問を投げかけた。
思いの外、声がかすれている。
「警察です。はい、ここは病院ですよ」
そう言って、手帳を見せてくれた。
「貴方が起こした事故について、話を聞きにきました」
訳がわからない。
俺は話を聞く事にする。
刑事の話は簡単だった。
俺は山道を友人に借りたランボルギーニで走行中に、桜の木に突撃したらしい。
その時、自転車で帰宅中の女の子をひいたようだ。
今まで見ていたのはもしかしたら、少女の苦痛を忘れさせないために、桜が俺に見せていたのかもしれないな。
刑事の聞き取りが終わり、医者の話を聞き終えて、俺は一人ベットの座っていた。
俺は今日の出来事を鮮明の思い出していた。
今日、友人に車を借りて、気分よくドライブを楽しみ、軽く飲むくらいは大丈夫だろうとお酒を飲んで、あの桜に見とれてそのまま事故を起こしたのだ。
俺は幽霊が言った、「かえして」と言う言葉に、申し訳なさと愚かな行動をした自責の念で、布団を頭から頭、涙を流し続けた。
(完)