君の世界と繋がる方法
概要
子供のことを思い出しながら読ませていただきました
語り手: harlequin moon
語り手(かな): はあれくいん むーん
Twitter ID: harlequin_moon
更新日: 2023/08/27 00:06
エピソード名: 君の世界と繋がる方法
小説名: 君の世界と繋がる方法
作家: はちゃこ
Twitter ID: hacha_upa
本編
二歳の君は、まだ言葉を持っていなかった。
のんびり屋さんだねと見守っていたパパとママは、
だんだん心配になって、とうとう君をつれて病院に通いだした。
先生が絵の描いてあるカードを持ってきて
たくさんの質問をしたけれど、
君は、にこにこ指を指すだけで、絶対口を開かなかった。
そんな言葉のない世界に生きている君が
お散歩中にこっそりママに教えてくれる花があった。
「あ、ぶおー(葡萄)」
咲いていたのは、紫色の房のような花だった。
「そうだね、葡萄にそっくりだね」
答えると、君は満足そうに、また歩きだす。
道端にこの花を見つけるたびに、
何回も何十回でも繰り返される同じ会話。
それでもママは、君の世界と少しだけ
繋がれたような気がして、とても嬉しかった。
だからママは葡萄の花の球根を買ってきて、
おうちの庭にたくさん植えた。
来年もその先も、君と葡萄の花のお話ができるようにって。
ところで、三歳の誕生日を迎えた君は、
ポンプの水が溢れるように、突然、お話しができるようになる。
どれだけ言葉を溜め込んでいたのかわからない。
保育園が今日も楽しかったとか、
晩ごはんがおかわりするぐらいおいしいとか、
まだお風呂に入りたくないとか、
とにかく今は、たくさんお話しができるんだ。
君はきっと花のことなんて忘れてしまったけど、
ママは庭に葡萄の花が咲くたびに、あの日々を思い出すんだって。
たぶんこの先、君が大きくなっても、何回も何十回でも。
ムスカリ…花言葉は「通じ合う心」
のんびり屋さんだねと見守っていたパパとママは、
だんだん心配になって、とうとう君をつれて病院に通いだした。
先生が絵の描いてあるカードを持ってきて
たくさんの質問をしたけれど、
君は、にこにこ指を指すだけで、絶対口を開かなかった。
そんな言葉のない世界に生きている君が
お散歩中にこっそりママに教えてくれる花があった。
「あ、ぶおー(葡萄)」
咲いていたのは、紫色の房のような花だった。
「そうだね、葡萄にそっくりだね」
答えると、君は満足そうに、また歩きだす。
道端にこの花を見つけるたびに、
何回も何十回でも繰り返される同じ会話。
それでもママは、君の世界と少しだけ
繋がれたような気がして、とても嬉しかった。
だからママは葡萄の花の球根を買ってきて、
おうちの庭にたくさん植えた。
来年もその先も、君と葡萄の花のお話ができるようにって。
ところで、三歳の誕生日を迎えた君は、
ポンプの水が溢れるように、突然、お話しができるようになる。
どれだけ言葉を溜め込んでいたのかわからない。
保育園が今日も楽しかったとか、
晩ごはんがおかわりするぐらいおいしいとか、
まだお風呂に入りたくないとか、
とにかく今は、たくさんお話しができるんだ。
君はきっと花のことなんて忘れてしまったけど、
ママは庭に葡萄の花が咲くたびに、あの日々を思い出すんだって。
たぶんこの先、君が大きくなっても、何回も何十回でも。
ムスカリ…花言葉は「通じ合う心」