日々是朗読【贋作師】〈ローネ〉
概要
贋作師という、偽物を扱う男の怪しさだったり、贋作師としての譲れない矜持のようなものを感じて頂ければ、うまく朗読できたってことになると考えてます。
難しかったですけどね。。。
難しかったですけどね。。。
語り手: 読書人流水
語り手(かな): どくしょじんりゅうすい
Twitter ID: bass_ryu_z
更新日: 2023/07/08 18:28
エピソード名: 贋作師
小説名: 贋作師
作家: ローネ
Twitter ID: lone_rohne
本編
いらっしゃい。ああ、皆まで言わなくていいさ。あんたも紛い物が欲しくてここにやってきたんだろう?
おや、自己紹介がまだだったね。……私(僕)は贋作師だ。
絵画から金銀宝石、何でもモデルがあればそこからそっくりそのまま作り出す事が出来るんだよ。ふふ…驚いたかい? ま、もちろんこっちの言い値だがね。なあに、心配することは無いさ。あんたの収入も手持ちもこっちにはぜーんぶわかってるんだから、そんな無茶は言わないよ。して、あんたのお望みはなんだい?
ほほう……この写真の子か。服から体まで全てそっくりに作って欲しいだって?
こりゃたまげたねえ。昨日の客もそんなぶっ飛んだ依頼はしてこなかったよ。
いいだろう、何でもできると言った手前、お安い御用だ。
だが、気をつけな。まがい物は所詮はまがい物だ。私(僕)がいくら丹精込めようと、心血注ごうと、本物に叶うことは決してない。あんたの事情は知らないし興味もないが、私(僕)の作る物に本物以上の期待を込めるのはお門違いってもんだよ。そんなのは愚か者のやることさ。そこん所はよくよく肝に銘じておくんだね。
さっ、わかったんなら手付金だ。契約の証に金貨5枚でどうだい? あとは商品と引き換えだよ。
……毎度あり。ふふっ、楽しみに待ってな。
ー終