電車と熊 作:はれのそら 朗読:ひくえび

概要


NFRSラジオのサウンドアンソロジー内 ピンクシャツデー企画に放送していただいたものです。
ほっこり系は難しいけどとても楽しいです。
お楽しみいただけますと幸いです。

語り手: ひくえび
語り手(かな):

Twitter ID: hikuebi
更新日: 2023/06/02 21:46

エピソード名: 電車と熊

小説名: 電車と熊
作家: はれのそら
Twitter ID: hareno123


本編

ある所に、電車が大好きな熊がいました。
熊はいつも電車を見つめて、ため息をつきます。
僕ものりたい……でも。
そうなのです。
電車は草食動物専用車両なので、雑食動物の熊ではのれないのです。
熊もはじめは悔しくてぷりぷり怒ってました。
なんで僕だけなんだと大泣きしました。
でも。
いつのまにか。
熊は変わってしまいました。
相変わらず、熊は電車の行く先を見送りますが。
もういいよ。
と、心の中でつぶやいてから、巣穴に戻るのでした。
もう乗れない、乗れっこない。
そう思うと、心がズキってしない。
悲しい知恵が熊を優しく迎えます。
そんなある日。

熊に声をかける小熊がいました。
なんと小熊はいつも熊が見つめていた電車の車掌見習いでした。
熊はびっくりします。
小熊の話によると車両は草食動物専用車両もありますが、時間帯限定で制限などなかったのです。悲しい知恵による思い込みが理由でした。
小熊は説明を続けます。
「あなたがいつも列車を眺めていたのを、僕は知っています。僕と同じ電車が好きな目でした。仲間が見つかって嬉しいです」
「ありがとう、小熊さん。でも今知ってよかった」
「え、熊さんどうして?」
「だって、君と出会えなかったから。電車にのれても……今の私だとさびしい気持ちになっちゃうから」
「……そうですね。私もさびしい。じゃあ熊さん、これから一緒に車掌さんになりましょう。夢は一緒に見れる人がいるともっと楽しいですから」
「仲間……友達……うん!」
熊の胸の内が熱くなりました。

そして。
熊はとてとてと駅へ向かいます。大事な友達と夢を叶えに。
(おわり)
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