あなたは覚えていますか? ~素敵な思い出を胸に これから・・・~

概要

大好きな人と出会い、そして別れ。

別れは悲しいけれど、新たな第一歩を踏み出す勇気を
きっと彼は見守ってくれている。

大丈夫、あなたがいるから、私は頑張れる。
ずっと見ていて!

語り手: 中島なおみ
語り手(かな):

Twitter ID: dobladordenatch
更新日: 2024/01/17 23:08

エピソード名: あなたは覚えていますか?

小説名: あなたは覚えていますか?
作家: ふわり
Twitter ID: fuwari3333


本編

あなたは覚えていますか?


その日も、どこへ連れられるのかわからないまま、
私はあなたについて行った。

春だというのに、まだ肌寒く、
静かに雨が降っていた。

どこへ行くのだろう?
あなたは無言のまま歩く。
いつものことだ。
私も黙って、あなたと並んで歩く。

いつの間にか、公園に来ていた。
初めて見る場所だ。
こんな雨の日に、どうして公園に?


ブランコや滑り台のある広場を抜けて
小さな小路を進むと、
突然、あなたは足を止めた。

あなたが私の手を取って導いた先には、
見事な藤棚があった。


「わ〜。きれい!こんなに長い藤のトンネル、初めて見た!」

高揚する私の横顔を、
あなたは満足そうに見つめていた。

「君に見せたくて」

その一言が嬉しい。
あなたが私のためにしてくれること、
ただそれが嬉しい。

「ありがとう」




ふと、懐かしくなって来てしまった。
あの頃と変わらず、紫色のトンネルを歩く。


「ここが、最後に来た場所だったね」



あなたは覚えていますか?


あなたとの思い出の場所。
あなたも見ているだろうか?
空の上から、この紫色を。
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