日々是朗読【失敗作な私】〈紅いココア〉

概要

心の内側を絞り出すような、そんな感情表現に魅了され、朗読してみました。
この感情を吐き出したのが男性なのか女性なのかわかりませんが、私には存在しない感情です。
だからこそ、自分なりに咀嚼し、構築し、声に出したかったのかもしれません。
作品の表現として、間違っていた朗読であれば申し訳ないです。

語り手: 読書人流水
語り手(かな): どくしょじんりゅうすい

Twitter ID: bass_ryu_z
更新日: 2023/06/02 21:46

エピソード名: 失敗作な私

小説名: 失敗作な私
作家: 紅いココア
Twitter ID: akai_kokoa


本編

前を行く人に追いつきたくて歩いた足は、あと一歩が届かない
助けを求めるその口から、言葉は出ない
差し伸べられた手を握ろうとして、空を掴んだ
いつだってそうだ
あと少しの所で離れていく
言葉が思うように出て来ない
差し出された手によって空を掴まされる
そう思っていた
いや、そう思いたかったんだ
だけど本当は違っていた
離れていくのではない
自らが歩みを止めていたんだ
置いて行かれる寂しさを、知っているから
言葉が出ない訳ではない
自ら口を閉ざしたんだ
発した言葉で、傷付く痛みを知っているから
差し出された手を引っ込められた訳ではない
自ら手を伸ばすのを止めたんだ
手のひらを返される恐ろしさを知ってしまったから

結局、他人が信じられなかっただけのちっぽけな話だ
信じてた先で、裏切られる位なら
多少の傷を常に背負ってでも
致命傷になるのを防ぐ為に
これ以上自分が傷付かない様に距離を取った
それでも、自らの歩みを止める事はしなかった
だけどそれは、生きる意味を見つけたい等という高尚な理由があった訳ではない
もしそんな風に思えたなら、それはどんなに素敵な事だろうか
けれど私には、そう思い続けるには心が脆すぎた
希望を求めるには、思考が固まっていた
だから私は、ただ死ぬ理由を見つける為に生きている
それは別に、死に急いでる訳ではない
ただ、生きる理由を求めて生きるのか
それとも、死ぬ理由を求めて生きるのか
どちらを選ぶにせよ、今を生きる事には変わらないのだから
それなら、自らにとって生きやすい方法を選ぼうと思ってしまったから

これはそんな、人として失敗作な私のお話
それはきっと、私の鼓動が止まるまで続くのだろう
願わくば、その終わりまでには生きた理由が見つかる事を祈って
私は今日も、その日が来るまで生き続ける
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