紅茶「呼吸をするためのミルクティー」

作家: 夕月 檸檬
作家(かな): ゆづきれもん

紅茶「呼吸をするためのミルクティー」

更新日: 2023/06/02 21:46
エッセイ、ノンフィクション

本編


パウダールームから戻る気になれなくて、カフェに入った。
店員さん以外誰も居ないカフェで窓辺の席に座り、川面(かわも)ににじむライトをぼんやりと見つめていた。

ゆっくりと、このミルクティーを飲んだら、会場に戻ろう。
人数が多くても、私が特別目立つ存在でなくても、居ないことに気づかれやすい立場で参加している。

そう、これは「仕事」の合間の休息。
ただでさえパーティーは得意じゃないけど、会社行事となると、なおのこと苦手。
ミルクティーを飲む間くらいは、会場に居ないことを許されたい。

甘くして飲んだミルクティーで、心の呼吸を取り戻して、会場の扉をそっと開けた。
0