秋、紅葉と紅茶と緑茶

作家: 狸寝入り
作家(かな):

秋、紅葉と紅葉と緑茶

更新日: 2024/11/02 19:14
その他

本編


秋の暮れの頃、紅葉が咲き乱れる町の丘で、紅葉が綺麗な木下にレジャーシートをひいて座る男女がいた。

二人は高校二年生、高校の頃に出会いつも楽しく過ごしている。

「さぁ、お茶会なのデス!」

「なぜ、俺がお茶会なんぞに付き合わないと行けない? 会なのに俺しかいない件」

「こまかいことはいいのデス! そういう気分なのですよ」

そう言いながら、金髪碧眼の女の子は紅茶用のティーポットに紅茶の茶葉を一匙入れて、魔法瓶のお湯をいれる。

そして湯呑みに緑茶の茶葉を入れてそのままお湯を入れて古風な顔立ちの男の子に手渡す。

「おいまて、なんだこの入れ方は? 茶葉まみれのお湯を飲めってか?」

湯呑みを覗きながら文句をいう。

「ささ、熱いうちにぐいっと」

「無理だからね! こんな苦そうなの」

「まぁ、冗談なんですけどね……」

女の子はもう一つ湯呑みをだして、茶漉しをセットして入れ換える。

「いつもながら、アンリは何がしたいんだ?」

「私は楽しく過ごしたい! 小太郎、いつも付き合ってくれる。優しい男はモテるぞ!」

「はっはっは、嫌みかこのやろー」

小太郎は声をあげて、熱いお茶を飲み干す。

その横でアンリはゆったりとハチミツを入れた紅茶を飲む。

風が吹き紅葉が揺れる。

静かに時間は流れていく。

「そういえば、紅葉の天ぷら食べたいな……」

「紅葉って食べれるのデスか?」

小太郎の呟きに目をぱちくりさせて、アンリは聞く。

「ああ、食べれるぞ。とある場所では普通にな」

寝そべって小太郎は落ちていく紅葉を見ながらそう返事を返す。

「私も食べたいです! 食べれる場所に連れていって下さいデス」

「ああ、今度な」

「今度っていつデス? 明日のお休みですか? それとも来週ですか?」

「今度ってんのは今度だよ……」

小太郎はあくびをして、眠たそうに返事を返す。

「む~。なら代金を払います、先払いデス」

カップを置いて、アンリは小太郎の頭を自分の膝にのせる。

「……」

「嬉しいですか? 嬉しいですよね」

目を開けた小太郎の顔を見下ろしながら、アンリは笑う。

「まぁ、いっか」

小太郎はそう言って目を閉じる。

紅葉のように顔を赤くしたアンリはその寝顔を楽しみながら、次のお出かけに想いを馳せるのだった。

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