成れの果て

作家: 紅いココア
作家(かな): あかいここあ

成れの果て

更新日: 2024/06/10 13:00
その他

本編


正義の味方に憧れた少年は
その手に持った木の棒で悪に立ち向かった
自らの心の中の正義を信じて
ただがむしゃらに、木の棒を振り続けた
目の前に居るそれを、悪だと信じて
それはきっと、小さい頃の誰かの記憶
正義の味方は、幼いからこそ憧れる事が許される
無邪気だからこそ、傍から見てて微笑ましい
それがどうだ、いい大人が掲げる正義ときたら
あの人が気に食わないだの、あの行動は間違いだのと
まるで自分の事を棚に上げ、ただ要求するのみと来た
誰もが皆、正義という言葉に縋り己を正当化し
自らが正義の代弁者となり、何をしても良いと錯覚して
誰かの正義を、狂気の笑顔で踏みにじる
そして全てが終わった後に、下卑た笑みを浮かべ声たかだかに宣言する
その言葉は、誰もが知るあの言葉
正義は必ず勝つ、と
正義なんてものは結局、行動を起こす為の免罪符で
時には、掲げた正義が悪に変わる事だってある
そしてそれは、逆もまた同じ事
時代と共に考え方が変わり、それまでの行動を悪とみなす事だってある
詰まる話、最初からこの世に正義も悪も存在しないのだ
あるのは誰かが行動する為の理由付けであり、その結果だけだ
ならばこそと、私は立ち上がる
これ以上、不毛な正義を生み出す事のないように
これ以上、理不尽な悪が生まれないように
世界征服を、始めようか
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