視線

作家: 狸寝入り
作家(かな):

視線

更新日: 2024/04/29 06:58
ホラー

本編


「おはよー。ママ、パパ」

朝の何気ない挨拶をして、学校にいく準備をかなは進めていく。

今日の朝食はトーストとハムエッグだ。

「いってきます」

それを食べ終えると駆け足で学校に向かう。

学校に着くとクラスメート達と楽しそうに笑いあう。

「で、あるからして」

数学の授業中、かなは退屈なのか手で口を隠してあくびを二回。

4限目。体育のバスケットボールでかなは見事にシュートを二本決めた。

お昼休み、パパ特性のお弁当をかなは幸せそうに食べていく。

特にお気に入りの甘めの卵焼きは最後に食べる。

18時、まっすぐに帰宅したかなは制服からラフな白地にピンクのハート柄のあしらわれた部屋着に着替えた。

その際に姿見に写る子供下着の自分の胸を二回揉んで、ため息をつく。

その後、夕食ができるまでに宿題を終わらせる。

毎日本当に偉いと思う。

夕食はママが作った少し焦げてしまったハンバーグを美味しいよと良いながら食べきった。

親思いの良い子だ。

21時、お風呂。頭から洗い始める。

やはり胸の小ささを気にしているのか、ため息を着きながら、自分の胸をみていた。

22時、毎週楽しみにしているバラエティー番組を家族と見て、過ごす。

23時半、歯磨きを済まして自室に戻る。

今日も何もなく無事に一日が……。

「いい加減にして!」

かなは突然大きな声を出して、天井を睨む。

「毎日、毎日、貴方はなんなの?」

かなは怒った声を出して、辞書を手に持った。

その辞書を天井に投げつけた。

何度も見ていたかなとは違う、イレギュラーなシーンだ。

これは一度、消さないといけないかもしれない。

「今、画面をスクロールしてる貴方よ!私の生活をのぞいて、何が楽しいの?」





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朗読者

朗読【視線】

語り手: 白河 那由多
Twitter ID: nayuta9333