人魚の恋〜第二話 恋と夢

作家: ふわり
作家(かな): ふわり

人魚の恋〜第二話 恋と夢

更新日: 2023/06/02 21:46
現代ファンタジー

本編


夢を見た。
不思議な夢。
あの女の子はいったい…

僕が海に行くのは理由がある。
クラゲを見に行くんだろうって?
もちろん、それもある。
でも、本当の理由は…

昔からクラゲが好きだった。
海の上をプカプカ浮かぶクラゲ。
ゆらゆらっと、波に身を任せる。
透き通るその姿と、気楽な雰囲気に、なんだか憧れていた。

でも、クラゲは決して気楽なんかじゃなく、
生きるために必死に泳いでいる。
泳ぐ?いいや、クラゲは自分から泳ぐことはできないんだ。

流されながら必死に生きているクラゲが、なんだか愛おしくて。
だから僕はクラゲが好きだ。

いつものようにクラゲを見ていると、沖の方で何かが光った気がした。
見渡しても、何も見えない。
ただ、ゆらゆらと漂う海が見えるだけだった。

気のせいかな…?
なんだったんだろう?

不思議に思いながらも帰ろうとした時に、チャポンとかすかな音が聴こえて、僕は咄嗟に振り返った。

え?
人?!

目を凝らして見ると、誰もいない。
その日は穏やかで、波も静かだった。
もし、誰かが泳いでいたり溺れていたりしたら、波が立ち、バシャバシャと音がするだろう。
でも、海は静かだった。

今のは幻か…?
でもどこか見覚えが…

ハッ!あれは昨日の夢…!
一瞬しか見えなかったけれど、夢の中に出てきた女のコとそっくりだった。

もう一度海を見渡しても、そこには静寂しかなかった。
どういうことだ?
これはいったい…

僕はまだ夢を見ているんだろうか?
なんだかわからないまま、家に帰った。

あの夢は、なんだったんだろう…?

(三話へ続く)
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