タイムカプセル~肝試しの危険性

作家: 狸寝入り
作家(かな):

タイムカプセル~肝試しの危険性

更新日: 2024/03/17 08:26
ホラー

本編


これは、とある集まりで聞いたお話です。 

その日、某所の小学校でタイムカプセルを掘ることになっていた。

集まったクラスメートは各々に久しぶりと言い合っていた。

そこに少し遅れて集合場所の教室に男の人が入ってくる。

「お、よっち。久しぶり」

「よっちじゃん! 遅れてどうしたのよ」

入り口のそばにいた男女がそう声をかけた。

「ああ、少し忙しくて……。あれ?谷やん達は?」

よっちと呼ばれた男は辺りを見渡して、そう聞きます。

「そっか、よっちは引っ越して今まで連絡とれなかったから知らないんだ。谷やんとやっちは事故でなくなったよ」

男がそう答えます。

「えー、マジかよ。なら小野寺と小杉は?」

「俺は知らないな。美代子何か知ってるか?」

隣にいた女性に男は確認しました。

「その二人も死んだよ? 二人で釣りに行って……。確か去年の✕月✕日よ」

「え? 嘘だろ」

「どうかしたの? よし君」

美代子と呼ばれた女性が驚く男に聞きます。

「いや、ちょうどその日に谷やんとやっちもバイクの事故で亡くなったんだよ」

「ちょ、ちょっとまってくれよ? 二人していや、皆で俺をびびらせようとしてるんだろ?」

「はは、流石に俺もこんな冗談は言わないよ」

「そうよ、不謹慎よ」

「すまない。変なこと言うようで悪いんだが、どうして俺が引っ越したか憶えてるか?」

「えっと肝試しの帰りにバイクで事故ったんだっけ? それで遠くの病院に入院になってだよな?」

「その日が何日か憶えてるか?」

「あ!✕月✕日だよね!」

黙ったよし君に代わって美代子が答えました。

「偶然だよな?」

「偶然だよね?」

「そうだよな……」

三人で顔を見合わせます。

「悪い、電話だ」

よっちはそう言って、教室を出ていきました。

「こんな日に、嫌な感じね」

「偶然だろうし、そんな気にするなよ」

二人がそんな感じで、楽しい話しに戻ろうとしていたら――

「悪い、仕事になったから行くな」

よっちが戻ってきてそう言うなり、また出ていきました。

「ねぇ、気を付けてね」

美代子はよっちの背中にそう声をかけます。

よっちは腕を上に上げて、返事をしました。

その後、教室では昔話で盛り上がっていきました。

遠くから聞こえるサイレンには誰も気がつかないのでした……。
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