幸せな二人

「ねぇ、優くん。昨日、一緒に歩いてた人は誰？」

向かいで美味しそうに好物のハンバーグを食べる彼氏にそう聞きます。

せっかく自宅デートなのに返事次第では、このまま別れることも……。

でも、優くんを私は信じたい。

彼の視線、動きに注視しながら返事をまちます。

「……。ああ、会社の後輩だよ！　少し飲みに行っていたんだ」

目を少しそらして、そう答えてくれました。

「ねぇ、３日後には結婚式をあげるんだよ？　何で、浮気なんかするの？」

泣きそうなのをこらえながら、そう問い詰めます。

「してないよ、本当。食事をしただけ」

「じゃ、この口紅の後は何？　このホテルのレシート、私は行ったこともないよ？」

テーブルの下に隠していた物を優くんに見せました。

「ちっ、うっせいな！　人の物を勝手に漁んなよ！」

乱暴に口紅の付いた服とレシートを奪われます。

「そうだよね？　ごめんね。私は貴方が好きだから！　つい探っちゃった。優くんずっと一緒に暮らそうね！」

「本当、そういうの重いんだよ！　子供ができたとか言うから……あれ……」

優くんはそのまま机に突っ伏してしまいました。

どうやら毒が効いたようです。

優くんをベットに運んで、私の体をぎゅっと抱かせて私も毒を口に含みました。

これで何時までもずっと一緒に居られるね？

死合だけど幸せだよ。

私の意識はそこで途切れました……。
　　　　　　　　　　　　　　　　(完)