窓のそと
窓のそと
更新日: 2024/02/29 15:20詩、童話
本編
ここにひとつ、窓がありました。
ずっとず~っと前から、ある窓です。
高い場所にあり、窓に触れることが出来なかった私は、その窓から見える様々なものとお話をしていました。
これは、そんな窓のこちらとあちらのお話です。
いつからでしょうか。
私は窓の外を見るようになりました。
春の少しだけ寒くて、ほんのり暖かい日。窓の外には鳥がいました。
『ねぇ鳥さん。』
「なんだい?」
『窓の外は暖かい?』
「そうだねぇ。まだ少し寒いかもしれないよ。」
『寒いの?』
「あぁ、私は空を飛ぶからね。空はここよりも寒いところさ。」
『まぁ大変。暖かくなるまでここに居るといいわ。』
「そうさせてもらうとするよ。」
鳥さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
夏の暑い日、窓の外には太陽がありました。
『ねぇ、太陽さん。』
「なんだい?」
『窓の外は暑い?』
「そうだねぇ、暑いよ。」
『暑いの?』
「あぁ、ボクがこんなにも元気に輝いているからね。」
『まぁ大変。太陽さんが輝き疲れて空が赤く染まるまで、ここに居るといいわ。』
「そうさせてもらうとするよ。」
太陽さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
夏が終わり風の音も大きくなり始めた秋の日、窓の外には風に舞った落ち葉がありました。
『ねぇ、葉っぱさん。』
「ん~なにかな?」
『窓の外はどうなってるの?』
「そうだねぇ~、色々な葉っぱが赤く染まっているよ。」
『赤いの?』
「そうだね、私みたいに全部が赤くなってそれは綺麗だよ。」
『まぁ素敵。葉っぱさんのその赤い姿をもっと見ていたいわ。』
「私で良ければいくらでも見ておくれ。」
葉っぱさんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
空気が次第に冷たくなって吐く息も白くなった冬の日、窓の外には雪がありました。
『ねぇ、雪さん。』
「なにかな?」
『あなたは真っ白なのね。』
「そうさ。雪だからね。」
『窓の外も白い?』
「あぁ、白いよ。辺り一面真っ白だ。」
『まぁ、素敵。』
「太陽の光があたるとキラキラしてそれは綺麗だよ。僕たちは溶けてなくなってしまうけどね。」
『それ悲しい事ね。雪さんが溶けないように見ているわ。』
「それは嬉しいね。私のこの白さをいつまでも見ていてよ。」
雪さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
私が夜にベッドに入って窓を見ると、そこにはいつも月がありました。
『ねぇ、お月様。』
「どうかしたのかい?」
『お月様はいつもお空に居るのね。』
「あぁ、私が空に居ないと眠れないだろう?」
『いつも居てくれるから安心して眠れるわ。』
「いつでも見守っているから、安心して眠るといい。」
『おやすみなさい。』
お月様におやすみなさいを言うと私は目を閉じました。そして、眠りにつくのです。
さて、このお話もここらで終わりにいたしましょうか。
ゆっくり、ゆっくり
おやすみなさい
おしまい
0ずっとず~っと前から、ある窓です。
高い場所にあり、窓に触れることが出来なかった私は、その窓から見える様々なものとお話をしていました。
これは、そんな窓のこちらとあちらのお話です。
いつからでしょうか。
私は窓の外を見るようになりました。
春の少しだけ寒くて、ほんのり暖かい日。窓の外には鳥がいました。
『ねぇ鳥さん。』
「なんだい?」
『窓の外は暖かい?』
「そうだねぇ。まだ少し寒いかもしれないよ。」
『寒いの?』
「あぁ、私は空を飛ぶからね。空はここよりも寒いところさ。」
『まぁ大変。暖かくなるまでここに居るといいわ。』
「そうさせてもらうとするよ。」
鳥さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
夏の暑い日、窓の外には太陽がありました。
『ねぇ、太陽さん。』
「なんだい?」
『窓の外は暑い?』
「そうだねぇ、暑いよ。」
『暑いの?』
「あぁ、ボクがこんなにも元気に輝いているからね。」
『まぁ大変。太陽さんが輝き疲れて空が赤く染まるまで、ここに居るといいわ。』
「そうさせてもらうとするよ。」
太陽さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
夏が終わり風の音も大きくなり始めた秋の日、窓の外には風に舞った落ち葉がありました。
『ねぇ、葉っぱさん。』
「ん~なにかな?」
『窓の外はどうなってるの?』
「そうだねぇ~、色々な葉っぱが赤く染まっているよ。」
『赤いの?』
「そうだね、私みたいに全部が赤くなってそれは綺麗だよ。」
『まぁ素敵。葉っぱさんのその赤い姿をもっと見ていたいわ。』
「私で良ければいくらでも見ておくれ。」
葉っぱさんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
空気が次第に冷たくなって吐く息も白くなった冬の日、窓の外には雪がありました。
『ねぇ、雪さん。』
「なにかな?」
『あなたは真っ白なのね。』
「そうさ。雪だからね。」
『窓の外も白い?』
「あぁ、白いよ。辺り一面真っ白だ。」
『まぁ、素敵。』
「太陽の光があたるとキラキラしてそれは綺麗だよ。僕たちは溶けてなくなってしまうけどね。」
『それ悲しい事ね。雪さんが溶けないように見ているわ。』
「それは嬉しいね。私のこの白さをいつまでも見ていてよ。」
雪さんとお話をしている間に、いつの間にか私は眠ってしまいました。
私が夜にベッドに入って窓を見ると、そこにはいつも月がありました。
『ねぇ、お月様。』
「どうかしたのかい?」
『お月様はいつもお空に居るのね。』
「あぁ、私が空に居ないと眠れないだろう?」
『いつも居てくれるから安心して眠れるわ。』
「いつでも見守っているから、安心して眠るといい。」
『おやすみなさい。』
お月様におやすみなさいを言うと私は目を閉じました。そして、眠りにつくのです。
さて、このお話もここらで終わりにいたしましょうか。
ゆっくり、ゆっくり
おやすみなさい
おしまい