君が躓いていた言葉
君が躓いていた言葉
更新日: 2024/02/13 21:02詩、童話
本編
幼い頃に肩を組んで
歩いた君は
思春期の到来と共に
離れていった
君も僕も
まだ大人の心を持てず
ほんの少しだけの溝は
時間が経つ程に
深く深く
やがて僕よりも
体が大きくなった君は
僕が勇気を持って
差し出した手を
振りほどいた
あれから十数年
心も体も大人になった僕と君は
道端の交差点で再び出会った
バツの悪そうな顔で
喉に何か引っ掛かるような顔で
君は僕を見つめていた
だから僕は
また手を差し出した
君が躓いている言葉を
分かってしまったから
じっと僕の手を見つめた後で
ぎこちなく手をとり
頭を垂れた君の姿が
少しだけ幼く見えて
ふっと笑いが込み上げる
君はそっぽを向きながら
「そのピンクのシャツ、似合ってるじゃん」
そう言った君と再び肩を組むのも
そう遠い未来ではないのだと
雲一つない青空を仰ぎながら
僕はひとりごちた