助手席の異世界転生

「いらっしゃいませ。ご成約ありがとうございます。」

「まだ見始めたばかりだよ。それよりこの車、なんで助手席が無いの？」

「当店、助手席の異世界転生がよくございまして。」

「それってよくあるの？」

「やはり季節柄かと。」

「そんな話聞いたことないけどね。それじゃ、この店のオープンのときに生えてた街路樹もそうなの？」

「ひとまずそういうことにしておいて下さい。」

「謎すぎるけど、まぁいいや。でもこの車、結構イイ感じなのに３人乗りだとなぁ。。」

「お客様、時空がゆがみ始めました。少々お待ち下さい（ヌゥーーン）」

「うわうわうわ、何この助手席！血だらけじゃないかよ。」

「ご安心下さい、これで装備が揃いました。」

「何？このシートもどこかから来たの？」

「はい、この様子ですと搭乗者は確実に転生してますね。」

「いや、本人はいいかもしれないけど、俺はこの車、買いたくないぞ！」

「事故物件ということでお値引きしますが、いかがですか？」

「いらないよ！」