なでしこの君へ〜第ニ話なでしこの君へ

作家: ふわり
作家(かな): ふわり

なでしこの君へ〜第ニ話なでしこの君へ

更新日: 2023/06/02 21:46
歴史、時代、伝奇

本編


※舞台は昭和初期の田舎町をイメージしてください。
2人の関係はご想像にお任せします。

※アドリブ不可。方言のみ可。
※SEはおまかせします。
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女 「お待たせしました。待たせてしまってごめんなさい。浴衣着るのに時間かかっちゃって…」

男 「いえ、大丈夫ですよ。待ってる時間も楽しいですから(笑)」

女 「そんな…からかって…」(はにかみながら)

男 「さ、行きましょうか?」

女 「はい」

(SE:虫の声)

男 「あの…浴衣、似合ってますね」

女 「…ほんとですか?良かった! ありがとうございます」

男 「とても美しいですよ」

女 「そんなこと言ってくれるの、勇さんだけですよ」

男 「そんなことないですよ。キミさん、綺麗だから…」

女 「きゃっ!」(つまずいて転びそうになる)

男 「危ない!(転びそうになるキミを咄嗟《とっさ》に抱きかかえながら)大丈夫ですか?」

女 「す、すみません…! ありがとうございます。大丈夫です」

男 「あ…すみません…、つい…。あの…良かったら、手、繋ぎませんか?」

女 「はい…」(照れながら)

(SE:お祭りの音)

男 「一回りしてみましょうか」

女 「はい」

男 「気になったお店があったら遠慮なく言ってくださいね」

女 「そうですね…金魚すくい、なんてどうでしょう?」

男 「良いですね!やりましょう!」

女 「うふふ。金魚すくい、得意なんですか?」

男 「まぁ、見ててくださいよ」

男 「すいませーん。金魚すくい、一回!」

女 「頑張ってください!」

男 「よぉ〜し。キミさん、どれが良いですか?」

女 「では、あの赤い子を…」

男 「承知しました!では…」

(SE:バシャッ)

男 「あぁ…!逃げられた!」

女 「あはは。難しいですねぇ」

男 「すみません、捕《と》れなくて…」

女 「いえ…良いんですよ。あの…私もやってみてもよろしいですか?」

男 「もちろんです!ぜひ!」

女 「はい。なんだか緊張しますね」

男 「金魚すくい、初めてですか?」

女 「ふふ。一度だけやったことあるんですよ」

男 「頑張ってください!」

女 「はい…!(間)よいしょっ…!」

男 「わ!捕《と》れた!すごい!すごい!キミさん、すごいですよ!」

女 「うふふ。私もびっくりしてます(笑)」

男・女 (2人で笑う)
(間)

男 「そろそろ帰りましょうか?」

女 「そうですね…もう遅いですもんね」

男 「あ…ちょっと待ってて下さい」

(勇は何やら買いに行った)

男 「ほら、これ!」

女 「あ…なでしこ…」

男 「今日は曇ってて月が見えないから、夜道は危ないかと思って。そしたら、キミさんの浴衣の柄と同じ、なでしこの柄があったから」

女 「素敵なちょうちんですね。こんな柄があるなんて」

男 「一目惚れして買ってしまいました(笑)」

女 「まぁ!(笑)」

男 「一目惚れはなでしこだけじゃないんですが…」(独り言のように呟く) 

女 「え…?」

男 「あの…また誘っても良いですか?見せたいものがあって」

女 「はい。もちろんです。ぜひ!」

男 「良かった!じゃあ、今日は帰りましょうか。
では」(手を繋ごうと差し出す)

女 「あ…」

男 「また転ばないように、ちゃんと繋いでますからね(笑)」

女 「はい…」(照れながら)

赤い金魚となでしことキミの頬も赤く染まっていた。

ー三話へ続くー
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