ある日の帰り道

作家: 狸寝入り
作家(かな):

ある日の帰り道

更新日: 2023/07/03 17:47
ホラー

本編


これは、私が中学生の時のお話しです。

 友人と遊び終えて、一軒家が並ぶ住宅街を自転車で走っていました。

 ふと、横を見ると住民が休むための広場の建設が進んでいることに気が付きます。

 自転車をこぐのをやめて、どういう感じの広場になるか想像して、いつか遊びに行こうと思いました。

 少しだけ進んだところで、違和感を感じて止まります。

 視界の左、点滅している街灯の下に人の影が見えました。

 いや、住宅街で人影なんて普通の事だろうと思うのですが、とにかく普通ではない違和感を感じます。

 その正体を確かめようと目を凝らすと老婆のような背丈で、手に鉈(なた)を持っている様に見えました。

 驚いて固まっていると、その影は凄い速さで私の方に向かってきます。

 私は無我夢中で自転車をこいで、逃げ帰りました……。

 ・・・・・・・・・・

 それから高校生になった私はその事をすっかり忘れて、生活をしていました。

 学校の帰りにできたばかりの広場で休んでいると、近くにいた主婦の声が耳に入ってきます。

「また、刃物を持った人が走ってきたんですって」

「怖いわね~、誰なのかしら」

 と、何やら事件性のありそうな会話に私は、当時の事を思い出しました。

 あれが人なのか霊なのかは分かりませんが、どうか皆様も夜道にはお気をつけください。
0