ある男たちの語らい

作家: リコピン
作家(かな):

ある男たちの語らい

更新日: 2023/06/02 21:46
その他

本編


店員:いらっしゃいませー
店員:何名様でしょうか?
B:二人です
店員:二名様ですねー、お好きなお席へどうぞ―
   席に着くAとB。店員、水を持ってやってくる
店員:ご注文はお決まりですか?
A:あー、そうだな・・・・・・トンカツでいいか?
B:先輩またですか?好きですね
A:いいだろ?ここのトンカツはうまいんだよ
A:トンカツ定食二つで
店員:トンカツ定食がお二つですね、少々お待ちください
   店員、厨房へ
B:先輩ってここ来たら絶対トンカツ食べますよね
A:そういうお前だってなんだかんだ食ってるじゃねえか
B:まあそりゃあねぇ?別にトンカツ嫌いじゃないですし、ここのトンカツはうまいですし
A:だろ?やっぱここ来たらトンカツ食わねえとなあ
B:だからって頻繁に食べてたら飽きません?
A:飽きない飽きない!ザックザクの衣に包まれたジューシーな肉がやさしくかけられたソースと奏でる絶妙なハーモニー!付け合わせのキャベツの千切りも絶妙にマッチして白飯が進む進む・・・・・・
B:あーもうわかったわかっ・・・・・・てキャベツ?
A:おう
B:キャベツってそんなに大事ですか?
A:バカやろう!大事に決まってんだろ!!※キャベツの千切りのないトンカツなんて水風呂のないサウナと同じだ!!
B:※その例えはよくわかんないですけど
A:なんでだよぉ!!
   テレビからニュースが流れてくる
アナウンサー:正午になりました。ニュースをお伝えします
アナウンサー:相次ぐ異常気象の影響により、各地で野菜の値上がりが深刻になっています・・・・・・
B:これしんどいですよねぇ
A:え?なにが?
B:野菜の値上がりですよ。どんどん上がっていくからスーパーで気軽に野菜と買えなくなっちゃってきてますよねぇ
A:そうなのか?ってああなんか嫁さんが似たようなこと言ってたな
B:先輩、そんなんじゃ奥さんに愛想つかされちゃいますよ?ちゃんと家のこともやらないと
A:わあってるよ
A:あー、にしても野菜が買えないとあれだな、えー、ほら、子どもに野菜食わせるのとかも大変になってくるな
B:え?どういうことです?
A:いや、嫁さんが子どもによく言うんだよ。肉ばっか食ってないで野菜も食えって
A:野菜が買えないんじゃそもそもそれ言うことすらできなくなるんじゃねえかなって思ってよ
B:あー確かに。そもそも野菜がないんじゃ食えって言われたって食べれないですからね
A:食えって言われても食えない。難儀だよなあ
B:ですねぇ
B:あ、そういえばちょっと似たようなことでこんなの知ってます?
   B、スマホを操作しAに見せる
A:なんだこれ?
B:公園の禁止事項が書かれた看板なんですけどね、多すぎてもはや何もできなくなっちゃてるんですよ
A:禁煙に、火気厳禁。まあこの辺は当然だわな。自転車放置禁止もまあわかる
A:ってスポーツ禁止に遊戯禁止!?公園だろ?遊ぶの禁止されたらいったい何のための公園なんだよ
B:そうなんですよ!公園で遊べなくなったら子どもたちはいったいどこで体を動かせばいいんだってなりません!?
B:家でゲームばっかりしてないで外で遊びなさいって言われてもそもそも遊ぶ場所がないって話になるじゃないですか!
A:確かに最近、公園で遊んでる子ども見なくなったなあ
B:でしょう?
A:それに嫁さんも最近子どもに外で遊びなさいっていわなくなってたっけ
B:でしょでしょう?
B:こんなんじゃ公園は散歩と日向ぼっこする老人ぐらいしか使わなくなっちゃいますよ!
A:たしかになあ
B:ほんとどうかしてますよね
A:にしても、なんでだろうな?
B:え?
A:ああいや、なんでこんなに禁止ばっかりになっちゃったんだろうなあって思ってよ
B:そりゃあまあ、近隣住民からのクレームとかなんじゃないですかね?
B:クレームに対して早くわかりやすく対応する方法が禁止看板を立てることなんじゃないですか?
A:そりゃたしかになあ
B:お役所としては対策しましたって言いやすいからどんどんどんどん増えてちゃうんじゃないですかね?
A:あー・・・・・・いや、でもなあ・・・・・・
B:どうしたんです?
A:いくらクレームが来たからってさすがに遊戯禁止にはしないだろ
B:ああ、まあ、確かに
A:そんな看板建てたらそのほうがクレーム来るって役所の人間だってわかってるだろ
B:まあそりゃあ、そうですね
A:だからよ、ほんとの理由はもっと別のところにあると思うんだよ
B:別のところ?
A:例えばよ?公園の下にある超巨大な秘密基地を隠しているとしたら?
B:・・・・・・はあ?
A:その秘密基地でなんかでっかい組織が日本を揺るがすような壮大な計画を練っていっるとしたら?
B:ちょっと待った。話がよくわからないです
A:だから例えばだぞ?なんかでっかい秘密組織があったとして、なんかやばい計画を立てていたとする
B:はいはい、それで?
A:そのやばい計画を実行するためにもやつらには拠点が必要だった
A:そんじょそこらの拠点じゃだめだ。ものすっごくでかい拠点が必要なんだよ
B:え?なんででかい拠点が必要なんです?
A:それは、あれだよ。なんか超でっけぇ秘密兵器みたいなもんとか隠しとく必要があるんじゃねえか?
B:うーん、まあ・・・・・・それで?
A:それで、そんなでっけぇもの地上に立てておくと目立つだろ?だからやつらは地下に拠点を作ったんだよ!
A:で、その基地への入り口を公園の中に作った!
B:はあ
A:基地の入り口がばれるとまずいからなるべく人を近づけたくない。特に子どもなんてのは好奇心旺盛だから冒険感覚で見つけられちまう可能性もある。
B:だから公園にたくさん禁止事項を作ったと?
A:そう!
B:いやでもそれなら公園じゃないところに作ったほうが良くないですか?わざわざそんなまどろっこしいことしなくてももっといいとこあったでしょうに
A:そりゃああれだろ。なんか超でっかいマシンとか地上に出すときに、上に物が少ないほうが出しやすいからとか
B:えーそんな理由ぅ?
A:じゃあお前は何だと思うんだよ
B:いやわかんないですけど
A:わかんねえのかよ
B:だってあまりにも現実離れしすぎてて
B:それに超でっかいマシン出すって言ったって公園から人がいなくなったわけではないですし、普通に散歩してるおじいちゃんとかいるじゃないですか
A:たぶんそのおじいちゃんたちは組織の構成員だな。おじいちゃんのふりをしていざというときに正体を現すんだよ
B:えー!?じゃあそのおじいちゃんたちがクレームも出してるってことですか?
A:いや、それはわからんけども
B:わからんのかい
A:でも腰の曲がったおじいちゃん達が急に背筋伸びてキビキビ動き出したらちょっと面白いべ?
B:まあ確かに。そういうドッキリとか結構あるし面白いけど・・・・・・
A:だろ?
B:でも、実際その組織って何やってるんです?
A:え?うーん・・・・・・
B:そんなめんどくさいことして基地作っていったい何を?
A:あーいや、ほら・・・・・・あれだよ、あれ
B:どれです?
A:ほら、あの・・・・・・ああ!そうそうあれ!
A:野菜だ!!
B:野菜?
A:さっきニュースでやってたろ?異常気象で野菜が値上がりしてるって
B:まさかその異常気象を引き起こしてるっていうんですか?
A:そうそう!異常気象で野菜を減らして、みんなが健康的な食生活を送れないようにしてるんだよ!
B:いやいや
A:みんなが不健康になったら日本はどんどんやばくなっていくだろ?
B:そりゃそうですけど
A:それに公園を使えなくもしてるから子どもたちはもっと不健康になっていくだろ?
B:それもそうですけど!
A:こんな感じでみんなをドンドン不健康にしていって最終的に日本を滅ぼしちまうんだよ!
B:でもそんな組織あるわけないですよ!
A:わかんねえぞ?ほんとにあるかもしれねえ!
B:いやいや、まさか・・・・・・
店員:おまたせいたしました~
店員:トンカツ定食お二つですね~
A:お!来た来た・・・・・・ってあれ?
A:あの、キャベツは?
店員:あ!申し訳ございません。最近の野菜の値上がりでキャベツが仕入れられなくなっていまして・・・・・・
A:あ、そうなんですね
店員:ですので今はサービスでご飯お代わり無料にさせていただいてます
A:ああそうなんですね
店員:はい!では、ごゆっくりどうぞ~
   店員、厨房にはけていく
B:いや・・・・・・まさか・・・・・・ねえ?
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