幻のハンバーグステーキ
公開現代ファンタジー
概要
シャッター商店街で出会った、特大サイズのハンバーグステーキ…。
本編
――まさにシャッター商店街だな。
昼間も閑散としていたが、夜になると輪をかけて人の気配がない。旅行の途中に立ち寄っただけの町で、特に何かしようなんて思わないが、コンビニはおろか、食事をするところもないのは困る。
真っ暗な商店街の中を進むと、ふと、良い匂いが漂ってきた。奥の方に明かりのついた建物が見える。小走りにその建物に駆け寄ると、小さな洋食屋だった。
――ようやく飯にありつける。
「いらっしゃい!」
メガネをかけたおじさんが笑顔で言った。他に客はいないが、とりあえず営業中らしい。メニューを見ると……ハンバーグステーキが430円。写真ではずいぶんとサイズが大きいようなので、もう一度金額を見る。
――大丈夫なのかな、これ……。
安いのはありがたいが、安すぎると逆に不安になる。ぐうっとお腹が鳴るのと同時に、「ハンバーグステーキ! ライスセットで!」と叫んだ。出て来たハンバーグステーキは……写真と全然違う。むしろ、超デカい。
店主に礼を言い、満足度120%で店を出た瞬間、「明日も来よう」と決めた。
翌日、昼間に来ると、店は中華料理屋になっていた。
――なんで?
店を間違えたのかと思い、キョロキョロしていると、「いらっしゃい! やってますよ!」と声をかけられた。昨日の洋食屋の店主……いや、似ているが、違う気がする。
「あのー、ここって洋食屋さんだったと思うんですが……」
「ああ、洋食屋ね……」
そう言うと、店主は少し黙った。
「昔、親父がやってたんですよ。16年前に亡くなりましてね」
「そう……だったんですか」
心の中で「ありがとう。ご馳走様でした」と手を合わせ、店の中に入った。
昼間も閑散としていたが、夜になると輪をかけて人の気配がない。旅行の途中に立ち寄っただけの町で、特に何かしようなんて思わないが、コンビニはおろか、食事をするところもないのは困る。
真っ暗な商店街の中を進むと、ふと、良い匂いが漂ってきた。奥の方に明かりのついた建物が見える。小走りにその建物に駆け寄ると、小さな洋食屋だった。
――ようやく飯にありつける。
「いらっしゃい!」
メガネをかけたおじさんが笑顔で言った。他に客はいないが、とりあえず営業中らしい。メニューを見ると……ハンバーグステーキが430円。写真ではずいぶんとサイズが大きいようなので、もう一度金額を見る。
――大丈夫なのかな、これ……。
安いのはありがたいが、安すぎると逆に不安になる。ぐうっとお腹が鳴るのと同時に、「ハンバーグステーキ! ライスセットで!」と叫んだ。出て来たハンバーグステーキは……写真と全然違う。むしろ、超デカい。
店主に礼を言い、満足度120%で店を出た瞬間、「明日も来よう」と決めた。
翌日、昼間に来ると、店は中華料理屋になっていた。
――なんで?
店を間違えたのかと思い、キョロキョロしていると、「いらっしゃい! やってますよ!」と声をかけられた。昨日の洋食屋の店主……いや、似ているが、違う気がする。
「あのー、ここって洋食屋さんだったと思うんですが……」
「ああ、洋食屋ね……」
そう言うと、店主は少し黙った。
「昔、親父がやってたんですよ。16年前に亡くなりましてね」
「そう……だったんですか」
心の中で「ありがとう。ご馳走様でした」と手を合わせ、店の中に入った。