物語をもう一度

　過去に世界を救った英雄も今ではただの好々爺。
　孫の玩具の剣に打ち破られる魔王を演じて十数年、旅立つ若者の肩を叩いて言葉少なに見送った。
　便りの無いのは無事の便り。家族を慰め日々は過ぎる。
　異変はいつも突然だ。空が赤く染まり、水は黒く淀んだ。報せはないが、予感はする。

　老人は再び剣を取る。